2019年度宝塚市政に対する要望書を提出

去る10月30日(火)宮本会頭、大室副会頭、矢野副会頭ほか2名が宝塚市役所を訪問、会員の皆様の要望を取りまとめた「2019年度宝塚市政への要望書」を中川宝塚市長へ提出、要望内容についての説明と、意見交換を行いました。
引き続き市議会に北野議長、三宅副議長を訪ね同様の要望書を提出、産業界の声をご理解頂くべく、商工会議所の意見、要望を伝えました。

2019年度宝塚市政に対する要望(全文)は以下のとおり。

2019年度宝塚市政に対する要望

地域の力は、そこに住み、学び、働き、集う「人」の力です。全国的な少子高齢化に伴う人口減少や首都圏への一極集中が進行する中、宝塚市のもつポテンシャルをより一層ブラッシュアップした、活力あふれるまちへの取り組みは最重要であります。宝塚市においては、新名神高速道路をはじめ、すぐれた交通アクセスを活かした国内外からの来宝者誘客、物流拠点等新産業分野の創造・誘致や雇用創出など、交流人口の拡大に資するとともに、中小企業における雇用への対応や生産性向上に向けた実効性の高い施策の推進が肝要であります。
昨今、市内企業、特に小規模事業者にとって、若年者を中心とする人手不足感は極めて強く、事業・経営に大きな影を落としています。働く意欲を持つ全ての人の雇用、労働環境の向上には、小規模事業者の経営安定や地域経済の活性化への支援強化が重要かつ実効ある施策となります。
とりわけ2019年度予算編成にあたっては、小規模事業者対策予算の十分かつ安定的な確保並びに中小企業の経営安定化や地域経済活性化への支援強化に重点を置くと共に、経済対策や都市基盤の整備など、以下の項目について、積極的に取り組まれるよう要望します。

1.中小企業の経営力強化について

当所は、小規模事業者の活力向上と地域経済を活性化する新たな支援体制を構築するべく、「小規模事業者支援法」の改正を受け、「経営発達支援計画」を経済産業大臣に提出し平成29年3月に認定を受けました。
当所は、事業者に寄り添い経営課題を解決する「伴走型支援」として、経営・金融・税務等に関する相談・指導を中心とする経営改善普及事業や、商工会議所が実施する「経営発達支援計画」においては、地域商業の活性化はもとより地場産業である花卉産業振興を始め観光宝塚の復活等小規模事業者を対象に力強く支援するものであり、宝塚市が目指す地方創生の「地域資源を活かした活力あるまちづくり」の実現に欠くことのできないものです。
しかしながら、近年、当所の役割は、事業承継、生産性向上、消費税率引き上げ・軽減税率、働き方改革など、質・量とも拡大する一方であるにも関わらず、兵庫県及び宝塚市の経営改善普及事業に対する補助金は三位一体改革以後低水準で推移しています。
宝塚市においては、小規模事業者がビジネスプランに基づいた経営を推進していくため、商工会議所と一体となって経営計画を作成し販路開拓に取り組む費用を地方公共団体が支援する場合に、国がそれを補助する地方公共団体による小規模事業者支援推進事業等を検討されたい。また、産業振興・地域振興を宝塚市とともに担う商工会議所の「小規模企業支援体制機能強化」のため、経営指導員等の増員をはじめとする人的な財源拡充等を県に働きかけるとともに、宝塚市として中小企業、小規模企業対策の充実・強化を図る産業振興予算の拡大に積極的に取り組まれたい。

2.都市機能の維持強化の具体策について

宝塚市におかれては、「北部地域まちづくり基本構想」で、農と自然を活かした交流人口の増加、定住人口の維持を図ることを目標とし、その実現に向けて注力されています。また、平成30年3月の「新名神高速道路」開通にともない、広域からの観光客が増加し、新たにオープンした宝塚北サービスエリアに多くの人が訪れていることから、整備効果は着実に出ていると思われます。
一方南部市街地においては、高速道路との結節点である「武庫川渡河部」や「尼崎宝塚線」及び「隣接市」との合流点で渋滞が発生する現状を解決する為、早期整備を兵庫県等に引き続き強く働きかけられたい。今後、「新名神高速道路開通」後の市内主要交差点等の交通量調査等の結果を踏まえ、交通の流れの変化等を明らかにし、今後の道路網の整備に全力を傾注されたい。
また、武田尾地区では兵庫県による河川改修工事に伴う造成工事が完了し、周辺住民の住宅建設や店舗建設が進むものと期待が寄せられ、旧福知山線廃線敷ハイキングコースの起点として多くのハイカーが訪れる観光スポットとしても注目が集まっています。これらの新たな観光資源を活かすためにも良好な飲食や休憩場所(公衆トイレ含む)の整備策等を検討されたい。

3.既存事業者等への支援について

ここ数年、当所は、宝塚市特産品・加工品開発支援事業補助金や兵庫県の実施する異業種交流活性化支援事業を活用し、特産品・加工品等の開発に努めてまいりました、また、木接太夫ブランドタグをつけた植木の販売等ブランド化に努めてまいりました。地域内の開発事業者の熱意や努力によって「花の里・西谷」など複数の事業者が協力し新名神高速道路・宝塚北SAにも商品を展開することが出来ました。また、兵庫県商工会議所連合会が参加した「インターナショナルギフトショー2018」(開催地:東京)に出展する市内事業所に当所は積極的に支援し、販路拡大に寄与する活動をしています。
この取り組みの中で、開発への支援もさることながら、商品の販路拡大への支援はさらに重要な課題であります。例えば、宝塚市として、「北部地域特産品・加工品販売促進事業補助金」を創設され支援されていますが、その継続と販路拡大等補助制度の拡充を強く要望いたします。
また、製造業等への支援策として実施している企業活動支援事業費補助金制度について、当該制度を活用しての新規立地に至らない主な原因として、新たな工業用地の不足が挙げられるとの回答をいただきました。問題や課題が山積していることも充分に理解しておりますが、兵庫県の宝塚北部開発用地や砕石場跡地は市内の未利用地としては最大規模であり、有効利用に向け議論を加速され、産業用地として確保できるよう強く要望します。

4.市内企業の育成と公共事業等における地元企業への優先発注について

地域活性化や安全・安心に資する社会基盤の整備等に係る公共工事予算を十分に確保するとともに、これら公共工事の発注に際しては、地元中小企業の受注機会の拡大に努め、優先発注枠の設定と分離・分割発注の徹底を図られるとともに、入札に関して、全ての発注に対して最低制限価格制度を国・県に準じたものにしていただくよう要望します。
建設業界では、資材急騰や熟練工の不足等、企業単位では解決が困難な事象も出ています。慢性的な人手不足と資材高騰は中小建設業の体力や競争力の低下を招き、成長を阻害する長期的な問題として深刻な影響が懸念されます。市内建設業の育成・経営力強化の為にも地元企業への優先発注についてより一層の尽力をされたい。
また、「宝塚市住宅リフォーム補助金」の活用は市内事業所による施工が理想的であり、市内建設業の需要の増加や競争力を高める手段としても有効です。そのため、市内建設事業者等が住宅リフォームや耐震・バリアフリー等の工事を請け負う場合の補助金助成の拡大など、市内建設業の受注機会の増加につながる施策を要望します。
これらの状況も斟酌いただき予算措置ならびに支援策を強く要望します。

5.観光プロムナードエリアの環境の変化について

観光プロムナードエリアは、宝塚歌劇や宝塚温泉を中心に観光宝塚を牽引してきた当市のシンボルです。とりわけ、宝塚南口周辺は、宝塚ホテルの移転にともない機能低下が危惧され、周辺の文化芸術施設・庭園整備との一体感を持たせるためにも、エリア全体の賑わいを創出するために回遊性が重要な課題となっています。
来宝者誘客など交流人口の拡大も期待される中で、当該エリアの魅力向上は喫緊の課題です。宝塚市産業活力創造会議の提言により策定された産業振興基本戦略を総括されるにあたり、当該エリアの将来像について積極的に議論をされたい。
さらには、国際観光都市に相応しい賑わいの創出のためにも宝塚ホテル移転後の「宝塚南口駅前地区」の再整備について地域と十分に対話を図りながら早急に検討されたい。
また、「県道生瀬門戸荘線」整備の進捗状況によっては、交通量の増大が予想され、新たな渋滞発生多発地域となる可能性も懸念され、当該地域の道路整備についても大きな観点から検討されたい。
次に「ラグビーW杯」の開催や「東京オリンピック」また、今後万博の誘致も期待され、今まで以上にインバウンド需要の増加が予想される中、より多くの外国人に来訪いただくために、これまで以上に様々な媒体を活用し観光情報の発信に努められるこが最も重要です。
外国人観光客の利便性向上を目的として一昨年度よりWi-Fi環境整備を推進され、中心市街地等では機能強化が図られましたが、今後近隣地域の清荒神周辺、中山寺周辺などの観光拠点についても、より一層整備を進められたい。